生活エッセイ

ちょうどいいブスってなんだよ

なんか最近炎上してる「ちょうどいいブス」について。
私は流行りのドラマには疎くて、アイスホッケーの「そだねー!」すら最近知ったし、今だに現役で「今でしょ!」を使っちゃってるようなトレンド周回遅れおばさんなんだけど、
誰が炎上したとかなんとかいうニュースは大好きですぐに飛びついてしまう妖怪インターネットガソリンぶっかけババアです。う〜ん、やな女。
まあわたしもブスで売ってる商売だし、さすがにこの件には言及せざるを得ないでしょう。私はちょうどいいブスなんかじゃなく緑に煌めくドブ川の女王、おったまげのぶっとびブスなんだけどね。

ちょうどいいブスってなに?

簡単に説明すると、相席スタートという芸人の女の方が「女はみんな自分のことをブスだと思って謙虚に生きろ」というクソみたいな説を唱えてるんだけど、それがドラマ化するんだよね。普通に引くよね。
え〜〜そんなこと全然思わなくていい。夏菜も高橋メアリージュンもみんなかわいいじゃん。というか相席スタートの人も結構かわいいよね?あれブスなの?
ちょうどいいブスに限らず、女はあまり美人すぎない方がモテるという説は昔からある。私が若い頃は「7の女」と呼ばれていた。ルックスが10段階評価で7ぐらいの女が結局一番モテるよね〜みたいな、その程度で、こんなに攻撃的な話ではなかったんだけど。しかし7って結構可愛い方だよね。
今回悪質だなと思うのは、それを他人に強要してる所かなあ。

「自分を卑下して謙虚に生きる」

私なんてブスなんだから、ダメなんだからこれくらいしないと…と他人に気を使いながらへこへこして、飲み会では汚れ役買って出て盛り上げて、率先して雑用やってニコニコニコニコ笑って上司にお尻触られても空気壊さないように笑顔で交わして家で泣いて。
私じゃん。
まじか。あの人こんな生き方を推奨してるの。こんな生き方一ミリも楽しくないからやめた方がいいよ。自己肯定感ぶっ壊れるよ。
疲れるし、搾取されて終わりだから。後には何も残らない。こいつなら何やっても大丈夫だと下に見られて、耐えきれなくなってから歯向かったって今更なんだよ生意気だと言われて終わり。
典型的なモラハラに合いやすいタイプの女。
まあこういう生き方がモテる、というのはあながちわからないでもない。
頭下げて美人と付き合うより美味しいご飯が作れて乱暴に扱っても怒らないそこそこブスと付き合う方が楽だろうし、飽きたら若いだけの女と浮気してさ〜もしバレて泣かれても逆ギレして出てけば何故か向こうがペコペコ謝ってきて、500円の花束でも買って帰りゃ一瞬で仲直り。で、飯は?って偉そうに踏ん反り返ってていい。
ちょうどいいブスってそういうことだよね?悪意があるかな?
それでモテたところで、認められているのは1人の女性としての価値ではないことくらいわかるだろうけど、それでもいい!それが幸せなの!とご本人は思ってらっしゃるだろうから私の口出すことじゃないかな。まあ引くけど。
モテるモテるっつったって、手軽な女として多数の男性にチヤホヤされたところで、何が嬉しいのかわたしにはちょっとわからない。
愛って、愛って……そういうことじゃないじゃん〜〜〜!!!と私の乙女の部分が全力で拒絶している。
ちょうどいいブスを目指すんじゃなくて、心からしっくりくるようなちょうどいい相手を見つける旅路、それが人生じゃん〜〜〜!!!
ああ、人生を旅に例えるという物書きが一番やってはいけないありふれ過ぎた比喩が思わず出てしまった。チクショウ。
こんなのドラマ化しなくていいよ。
これ、男性が主役なら「手当たり次第、周りの女に金をばらまけばモテる!」という内容になるんだろうか。そんなことしてまで女性に群がってもらって嬉しい?惨めだと思うけどなあ。女も一緒だよ。
まあそれが幸せかどうかは個人の価値観によるから否定はしないけど、理解出来かねます。

だけど1つ、言いたいこともある。

このドラマ、多くの女性と同じようにわたしも割と否定的に見てるけど、
だけどこの考えを否定してる人の中で
「みんな自分にもっと自信を持って」とか「女の子はみんなかわいい!」とか言ってる人が多くて、そういうの見ちゃうとあーーーーーうるっせーーー!!!て思うんだよね。
だってそんなの嘘じゃん。強者の理論じゃん。
皇族の名前で検索して予測変換の一番上にに「ブス」って出てくるような国だぞ。アイドルでもない、自分のことを可愛いとアピールしている訳でもない。
皇族ですらただ生きているだけで赤の他人に外見を揶揄されコケにされる世の中で、女の子はみぃんなプリンセス☆なんて言われて、誰が納得できるんだろうか。
ブスに対する人間の差別意識って、本当に根強く恐ろしい。
自分の外見に自信を持って生きることはそりゃ素晴らしい。それができたら一番いいよ。
だけど、そんなことできない人だっている。
それは、自信というものが何の根拠もなく持てるものではないから。
自己肯定感なんてなんの裏付けもなくただ闇雲に持てるものじゃない。
ブスが嫌でダイエット、メイクしてそれが自信に繋がりました!という人もいてそれは素晴らしいと思うんだけどさ、
「女性に生まれたんだから絶対にオシャレやメイクを楽しむべき」という言葉も、方向性は違えど「ちょうどいいブス」と同じようなジェンダーの押し付けだと私は思う。
目指すべきは、みんながメイクを頑張ったおかげでブスが1人もいなくなった世界なのかな。ブスだろうが美人だろうが差別されない世の中なんじゃないの。
あと、ブスでも自信を持って〜て言える人はさ、多分ブスじゃないんだよね。
ブスとして生まれて、ブスのまま生きてきた私ならわかる。自信なんて持てるはずがない。
ブスに人権なんて与えられてないんだよ。何も悪いことしてなくたって、ただこんな顔で生まれ落ちたってだけでどれだけ惨めな思いしてどれだけ理不尽なこと言われてどれだけ辛い思いして生きなきゃならないのか。「ただ普通に生きること」すら誰にも認められないの、あなたもブスならわかると思う。
化粧して多少はマシになったところで散々差別されて捻じ曲がった考え方は簡単に直せるもんじゃないし、自信持てとか言われても笑っちゃうよね。
ブスはブスとして自虐で笑い取って生きていくしかない、そういう生き方しかできない人もいる。
それはせめて許してくれと思うかな。
ブスが「私はブスじゃない!」とか「ブスって言わないで!」なんて言ったって何の意味もないんだよ。だってブスなんだから。なんの説得力もない。
ブスが自分に自信持ったって、ブスから「勘違いブス」にランクアップするだけで決して生きやすくなんてならない。
もちろん悪口を言う方が悪いことも、そんな差別的な社会を否定し続けないといけないということも理解してる。それが正しいことはわかる。
だけど、世の中には差別と真っ直ぐ戦い続けられるほど強い人ばかりじゃないんだよ。
逃げだとわかっていても、自分の置かれた環境に馴染んで騙し騙し生きていくしかできない弱者もいるんだよ。
山崎ケイさんの生き方や考え方そのものは理解できないけど、私も似たようなことをしてしまっている部分もあるし、否定はしない。
ただ、問題なのはそれを他人に押し付けることだよね。
差別をなくすために一番大切なのって多様性を認めること。自分と違う意見を排除するのではなく、理解するのでもなく、許してあげることだと思う。
だから彼女が「みんなも自分のことをブスだと思うべき」という意見には反対だけど、彼女が自分のことをブスだと思おうが男性に媚びを売って生きていこうが彼女の自由だし放っておいてあげたら、と思う。
あの人、何となくだけど自分のことをブスだなんてこれっぽっちも思ってないような感じがある。美人だとも思ってないんだろうけど。自信過剰でグイグイ行く自称サバサバ系女のイメージ。女から嫌われて男から好かれるというのは少しわかる。私は正直苦手なタイプだけど、まあモテるんだろうなあ。
私はあの人よりも全然ブスだからよく自分のことを「靴の裏に着いたガムのカス」だとか「ちょっと可愛いドブ」だとか、「若鮎の内臓みたいな顔」とかって自虐することがあるんだけど、それも自分の自尊心を守る1つの術なんだよね。
もちろんインターネットという顔の見えない世界だからやってるだけで現実じゃそんなにやってないよ。周りに気使わせちゃうし。
だけど、可愛い人たちと一緒におすましして座ってるより「私ブスだから」ってお笑い役に徹した方が楽なんだよ。
なんていうか、甲子園で球拾いするより草野球で4番ピッチャーやりたいみたいな感覚。
美人に紛れて戦ったってどうせ勝てないんだから、フィールドをお笑いに持ってっちゃった方が楽なんだよね。
なぜかってそうした方が、自分が傷つかないから。
そんなことしなくても自分の外見に自信を持っていられる人って本当に幸せ者だよね。
それはきっと私には一生手に入らない幸せ。
ああ羨ましい。
私も一日でいいから
「自分のことをもっと好きになろう」なんて他人に言えるような人生を、歩んでみたかった。