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溺れるナイフを見たょ

今更ですが、映画「溺れるナイフ」を見ました。すげえ良かったのでレビュー。

映画というより、二時間の絵画を見ているような不思議な感覚だった。
ひたすらに美しく、菅田将暉って、なんだかモナリザみたいだと思った。

私、少女漫画の実写映画とかって嫌いなんですよ。でも菅田将暉出てるからみたいな〜と思ってたけどなんとなく先延ばしにしてたんだけど、

すげえいいねこの映画!
もうネタバレとかないだろうから別にオチ言ってもいいよね!

あらすじざっと言うと東京のティーンモデルの転校生小松菜奈が田舎の島で暮らす事になり、破天荒な金髪ヤンキー菅田将暉とすったもんだありつつチューする話…

ストーリー自体は別に格別面白いわけでもなく驚く展開も衝撃のオチもないけど、
映像がひたすらに美しく「閃光」のような美しさがあった…アッタョ…。

小松菜奈!

小松菜奈って別に演技下手じゃないと思うんだけども、
乾き。も良かったし独特なアンニュイでどこか冷たい雰囲気もあって好きなんだけど、
今回の演技はうーん、微妙。
「ルックスの良いモデルさんが演技頑張ってます」に成り下がっちゃってたね。
共演の菅田将暉に食われちゃってたな〜と思う。
悪くないんだけど、押されてた。
菅田将暉のパワーがこれでもかと詰め込まれて、溢れ出てる映画だった。

そもそも菅田将暉は金髪が似合う。
そこのみにて光り輝くの金髪バカヤンキー役ちょうよかったよ〜!どんな役でも演じ分けられる俳優さんだとは思うけど、菅田将暉は金髪が本当に似合うね〜!底抜けに明るいバカだけどどこか憎めない可愛らしさとか世話を焼きたくなるような愛しさと時折見せる残虐性を演じさせたらピカイチだよねこの人。
今回も金髪というか白髪かな?ハイブリーチ!って感じのヘアがはちゃめちゃに似合ってて最高でした!

ストーリーは正直最初はパッとしない。
小松菜奈演じるモデルがほんと可愛い見た目だけの中身スッカラカンで恋愛に振り回されるモラトリアム女〜って感じに描かれてたのはわざとなんだろうか?漫画はもうちょっと芯があったような。
その辺は小松菜奈の力不足を感じるね…
「見た目が美しいから俺のモンにしたかった」それだけになってしまってる。
東京から来たから、
モデルだから、
それ以外に惹かれる熱いものがもっと見せれてたらなー。菅田将暉はいるだけで目を惹く存在感があったし、小松菜奈もあの雰囲気もっと強く出せてたら2人だけの「特別」とかクラスで浮いてる感じが強く出たかなーと思った。大人びた表情にツインテールが似合ってないのも理由の1つ。

あとセット狭いのか?
祭りのシーンでずーっと同じとこグルグル歩いてたのは何なの?お前らどこ行きたいの?何したいの?って思っちゃった。

グっときたのは後半!

怖い男の人が急に出てきて襲われるんだけど、ギリギリの所で彼ピッピが助けてくれて二人の愛が深まる♡的展開?
あ〜少女漫画によくあるやつねと思ったら本当に襲われて、それも目の前で。
その時の菅田将暉の演技がめちゃくちゃ良い!!

自信家で誇り高きコウちゃん。
空も海も全部俺のもんじゃ〜!みたいな、周りの大人も自分のわがまま許してくれて、同級生は一目置いてて、世界が自分中心に回ってる、全能感バリバリでなんでもできると勘違いしていたコウちゃん。
その自信が目の前で、それも大切な人を犯されるという最低最悪の絶望シチュエーションでぶち壊される。
誰よりも強いと思ってた自分。
自分の事を神と同等ぐらいに思ってた菅田将暉が、揺るぎない自信が。
たった一人のくだらない大人に、軽くコテンパンにされちゃう現実。
彼にとっては彼女が襲われた悲しみよりも、自分が全能じゃないと知ってしまった悲しみの方が深くて、コウはどこまでも自己愛で、
そしてそんな雰囲気を表情だけで我々に伝える菅田将暉の演技力にただただ脱帽せざるを得ない。

ザ・少女漫画的展開!

そこから大友とかいう一目見て当て馬だとわかるキャラがガンガンアタックしてくる。
ママレードボーイでいう銀太。
天使なんかじゃないでいうケンちゃん。
花より男子の花沢類。
僕等がいたの竹内くん。

もうね、絶対この人と付き合った方がいいのよ〜!わかってんだよ。
全員展開知ってる。なんなら初登場時からなんとなくわかってる。
こいつは小松菜奈を好きになって一瞬小松菜奈も揺らいで「コウちゃんのことは忘れてこの人と一緒にいた方が幸せになれる」って思うんだけど結局何か違うってなって菅田将暉のとこに戻っていくのよ!そんで別れ際までずーっと良いやつなんでしょ?どうせ!
知ってんだよ!もうわかる!やめてくれ!やめてくれ!!!
全員が予想した展開を一ミリも裏切らないステレオタイプの当て馬!
この子も演技すんごい良かったのよ重岡大毅くんって言うんですって!ジャニーズなのかな?

この辺は正直展開がダルい!見なくても予想できるからね。なんだけど、重岡大毅くんの演技が良くて飽きなかった!
リアルな高校生〜!って感じの良い演技するね!眉毛の下りはしつこすぎたけど椿のシーンは綺麗だった!
最後までめちゃめちゃ良い人で明るくて、本当に良い当て馬だったよ…!

あと友達役のカナちゃん?が中学生時代はダッサイ2つ結びでモサモサの田舎女って感じなのが高校生になって垢抜けてかわいくなる感じが本当によくいる田舎の高校生〜って感じで良かったw笑ったw

菅田将暉〜

彼女が襲われて荒れてヤンキーになった菅田将暉。
小松菜奈と再開して愛し合って、
お前のせいで自分が「全能」じゃないことを知ってしまったと嘆きながら泣くシーン
誇り高く生きたかったと涙声で言うコウちゃん。あのプライドの高いコウちゃんが、とても脆くて弱かったね〜素晴らしいね菅田将暉の演技は…

脚本には説明不足な点も多くて、ここもうちょっと深く描いたら良いのにってところも、暴漢に襲われた女が翌年の同じ日に一人で薄着で何やってんだ危機感なさすぎるだろとか色々細かいツッコミはあるけど、

ストーリーよりも映像美に拘って作られた感と、その映像美に何よりも説得力があるからこまけえことは良いんだよって思える稀な例。
菅田将暉の演技力の高さとアンニュイな映像を見たくて見る映画って感じかな〜。

ラストの菅田将暉と小松菜奈がビッグスクーターで走るシーンは超楽しそうで笑顔なのに儚くて悲しくて、それが芸術的な美しさだった。EDのドレスコーズが合ってたけど中盤の大森靖子は一曲で良かったかな。歌詞がある曲だと観客の気持ちがブレるよぉ。

まとめ

この映画を見て感じたのは、
「閃光みたい」だった、ということ。
誰しも今までの人生で閃光みたいに感じる芸術と触れ合ったことがあるんじゃないだろうか。
初めて聴いたバンドの曲がめちゃくちゃ良くて、脳みそを直接ハンマーでガツンと殴られたような衝撃。
私にとってそれは峯田和伸であり、大森靖子であり、この映画だった。
デビューアルバムで評価された多くのアーティストは、二作目、三作目と次第に飽きられていく。一発屋と呼ばれたりするけど、演奏技術が向上しても、続かないのは何故だろうか?
芸術家は己の才能や若さ故の衝動を切り売りする職業である。
才能は、いずれ枯渇する。だからこそ一瞬の「閃光」のような輝きを人々は求め、消費していくのだと思う。
それこそが芸術なんだと思う。刹那的で、脆くて儚くて、ドス黒くて美しい。
それを受容できることも若さだし、受け手のアンテナが立ってないと理解もできない。
十代のうちにこの映画を見たかったと思う部分もあるけど、表面的な内容しかなぞらなかったかもしれないな。
菅田将暉が演じたコウは、輝かしい閃光だった。ひたすらに美しく輝いていて、眩しかった。