生活エッセイ

ニノの結婚を大森靖子の結婚から考える

ニノの結婚でツイッター界が荒れに荒れ、
お祝いよりもファンの悲しみのツイートよりも「ファンならお祝いしてあげるべき」という叱責のツイートの方が多く目に入った。

お祝いできる人たち、恵まれてるなあと素直に思った。嫌味じゃないよ。

私も推しの結婚で胸を痛めたことがあるから、こればっかりはちょっとお祝いしてあげるべきなんて軽々しく言えない。

どちらの愛が重いか、どちらの愛し方が正しいか、なんて話ではない。
どうして祝えないかを論じずに
「ファンならお祝いすべき」なんて理想論だけ叩きつけるのはもはや暴力でしかない。

私の推し

私が推していたのは、大森靖子という女性だ。
男性アイドルでないことを意外に思った方もいるかもしれない。
私は彼女を疑似恋愛の対象として見ていた訳ではない。

大森靖子は、絶望によく似た宝石だった。
うだつの上がらない私の人生にキラキラと眩しく光り輝いていてた。

宝石なんだから私なんかの手の届くものじゃなかったんだけど、
愚かな私は、そんな事にも気づけなかった。

私と大森靖子

当時派遣社員として働く私は、彼氏もおらず給与も低く、なんのやりがいも生きがいもなく虚無感を抱えながら人生をただ過ごしていた。
「生きている」というよりも、ただ「時間が過ぎている」という感覚だった。
私の人生は空っぽで、私には何もなかった。

彼女との出会いがどんなものだったかよく覚えていない。
たまたま音楽系のユーチューブを漁って出てきたのか、タワレコでオススメのポップでも見たのかちょっと忘れてしまったが、とにかくiPhoneで「絶対彼女」のPVを見たのが最初の出会いだった。
可愛かった。
「あ、この感じ好き」と思った。

それから絶対少女のアルバムを買い、気に入ってしばらく聴いていた。
ちょっとメンヘラっぽい歌詞と可愛らしい歌声とがなるような叫び声と、
アップテンポでノリやすいメロディーと胸をグッと掴まれるような切ないかすれ声。
プレミアが付き値上がりしたインディーズ時代の過去のCDもネットで買って全部揃えた。グッズも買った。
それから、彼女のことをとにかくたくさん調べた。
学生時代は浮いた存在だったこと。
愛や、性や、死についての価値観。
銀杏BOYZのファンで、高校生の時に戦争反対ツアーでボーカルの峯田和伸にメールアドレスを教えてもらって何度も長文メールを送っていたこと。(これは私も全く同じ思い出があったのでとても驚いた)

峯田和伸と、私銀杏BOYZというバンドをご存知だろうか。有村架純ちゃんが主演を務めた朝ドラ「ひよっこ」で確か主人公のおじさん役だかなんだかやってたのが...

彼女の過去や好きなものや価値観は、何だか私にとてもよく似ているように感じて嬉しくなった。
今になると、行き過ぎた共感が自己投影へと変化していたんだなと思う。

大森靖子の結婚

そんなある日、彼女は、とあるバンドマンと結婚した。27歳で結婚して28歳で出産。
ライフプランナーが考える「平均」の女みたいな優等生な人生を、大森靖子が歩むんだ、と思った。

この人、めちゃくちゃ幸せじゃん。

ああ哀れ。
私の絶望を、不安を、孤独を、共感してくれるアーティスト。
そんなの幻想だった。大森靖子は愛されていた。
どこかの誰かの「たった1人」になれていた。特別で大切な宝物に。

またひとりぼっちになってしまったと思った。
私の孤独と憂鬱を、もう誰も分かち合ってくれないと思った。
とんでもなく幼稚な被害妄想だとわかっていた。それでも現実を突きつけられるのは痛かった。

心の整理がつかないまま、セカンドアルバムの「洗脳」をずっと泣きながら聴いていた。

そして時は経つ

そうして一年が経ち、私が彼女と同じ年齢になった時、今の夫と結婚をした。
その翌年、娘を授かった。

あれだけ孤独がどうだの絶望がどうだの偉そうに語っておいて、
愛を知り結婚をして幸せになった女にエモい曲歌われても全然心に響かないとか散々ディスっておいて、

なんと、私はコロッとファンに戻ったのだ。

人間って本当に身勝手だよね、あはは。
靖子ちゃんの育児アカウントまでフォローして「わかるぅ〜!」とかなんとか言っちゃってる。ナナちゃんグッズも飾ってる。
どの面下げてアルバム買ってんだよといつも思う。

さあ、彼女の結婚を心から喜べなかったと言うことは、私は大森靖子のファンではなかったのだろうか?
「結婚を喜ばなかった」という一つの出来事だけで、アルバムを聴いて感じた想いもライブで声を枯らした事も楽曲の素晴らしさに胸打たれたことも、全部嘘になってしまうのだろうか。
彼女が結婚した時、私のようにうじうじ恨んでいる人よりも彼女を祝う声の方が遥かに大きかったように思う。
それはとても素晴らしいことで、彼女がみんなに広く深く愛されているという証拠でもあり、
私はそんな風に思われる人を愛しているという事が嬉しかった。
だけど、私にはお祝いなんてできなかった。
祝うべきだと理解していても感情がそれを許さなかった。

嵐のファンも、応援できる人だけしてできない人はしなくていい

結婚を心からお祝いできる人はすれば良い。
できない人はしなくていい。
いつか納得できる日が来るかもしれないし、来ないかもしれない。
自分の気持ちに嘘をついてまで、おめでとうなんて言う必要はない。
自分の悲しみを理由に人を傷つける理由にしてはいけないが、ただ悲しむぐらいいいじゃないか。嫉妬だと言われても、嫉妬で傷つくことの何が悪なんだろう。
人知れず傷ついて、時が癒してくれるのを待つしかない。

ただ、ニノに関して言えば

匂わせは早めの段階で止めとけよと思う。

私がニノの彼女でも多分匂わせはするけど、それでもちょっと言いたい二宮和也さんご結婚おめでとうございま〜す! しかしいくつかどうしても気になる点があるんですけれども、その辺どうなんでしょうかね!!! ...